オープンソースカンファレンス2009 Tokyoで、オープンソースのスクリーン・リーダー「NVDA」のセミナーを受講してきました。
NVDAは、無料でオープンソースのWindows用スクリーン・リーダーです。
発表者の3名(インフォアクシアの植木真さん、ミツエーリンクスの中村さん・辻さん)は、ITRCのUAI(高齢者と障害者のインターネット利用)分科会メンバーとして活動し、NVDA日本語化に携わっています。
NVDA日本語版の現状や背景について、聞き書きメモです。
NVDAとWebアクセシビリティ
WCAG2.0とJIS X 8341-3の改定
Webアクセシビリティ規格のWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) が約10年ぶりに改定となり、JIS X 8341-3も今年9〜10月に、WCAG2.0をそのまま採用する形で公開となる予定。
Webアクセシビリティの3つの基本構成要素
Webアクセシビリティには、3つの基本要素がある。
コンテンツ・ユーザーエージェント・オーサリングツールである。
Webアクセシビリティの実現には、この3つの要素がそれぞれの役割を果たすことが必要となる。
アクセシビリティを構成する3要素については、植木真の『アクセシビリティとWeb標準、SEO』 第2回(インフォアクシア)が参考になります。
支援技術の不足
Web標準(Web Standards)仕様に沿ったサイト作りが一般的になり、コンテンツのレベルは上がってきているが、音声ブラウザやスクリーンリーダーなどの支援技術が不足しているという現状がある。
スキップリンク
具体例として挙げられたのが、「スキップリンク」。
JIS X 8341-3草案 7.2.4.1 ブロック・スキップに関する達成基準では、グローバルメニューなど繰り返されるコンテンツブロックがある場合、「通過できるメカニズムが利用可能でなければならない」となっている。
所謂「スキップリンク」「ナビゲーションスキップ」と呼ばれる、読み飛ばしのためのリンクを埋める方法がよく使われるが、WCAG2.0の達成テクニックでは、HTML見出しタグによる構造化でも可能となっている。
しかし、これは見出しジャンプに支援技術が対応していることが前提となる。
NVDA日本語版の意義
見出しナビゲーションに対応していないなどの技術的な問題のほか、支援技術ソフトが高価で経済的な負担があるという問題もある。
日本のスクリーンリーダーの底上げのきっかけとなれば、という思いもあり、NVDA日本語化プロジェクトが進んでいる。
NVDA日本語版の現状と課題
NVDAが優れている点
- 国産スクリーンリーダーと比較して、基本機能は同様である。
- 見出しやリストの入れ子などの情報を読み上げてくれ、見出しジャンプに対応している。
- 出力先を音声からディスプレイ表示に変えることが出来、目視で音声読み上げを確認出来る。
NVDAで改良が必要な点
- 音声合成エンジンが同梱されていないため、他のスクリーンリーダーの音声エンジンを利用する必要がある。
日本語では、無料の音声エンジンが無いので、利用者に経済的負担がかかる。 - 他のスクリーンリーダー(操作実例では、Jaws)と比較して、漢字の変換時に変換の内容をサポートする機能が無い。
読むことは出来るが書くことは出来ない状態である。
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